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昔々、遠くて近いどこかの国に、世界で一番美しいお姫様がおりました。
お姫様は年頃になり、そろそろ結婚相手を探すことになりました。
父親である王様は、どんな人を婿に欲しいか、お姫様に聞きました。
「お父様、わたくし、世界で一番ステキな方が欲しいのです。星より美しい人がよいのです」
そこで王様は、大舞踏会をひらきました。
世界中から我こそはと美貌の主がかけつけて、列をなして求婚します。
けれども、その場で一番美しいのはやっぱりお姫様だったので、姫は誰とも踊りませんでした。
「お父様、わたくし、世界で一番ステキな方が欲しいのです。月よりひっそり賢い人がよいのです」
そこで王様は、たくさんのむずかしい問題を用意しました。
大勢の学者や賢者がかけつけて、あっという間に問題をときました。
けれども、一番早く問題を解いたのはお姫様だったので、みな気まずそうにうつむきました。
「お父様、わたくし、世界で一番ステキな方が欲しいのです。太陽よりも強い人がよいのです」
そこで王様は、武術大会をひらきました。
たくさんの力自慢がかけつけて、一位を争い大混乱の大乱闘。
互いにののしり合って、だれがだれやら、勝った負けたも分からない。
お姫様はすっかりあきれてため息をつきました。
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