卵かけご飯と小鳥

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 森の中で拾った卵を家まで持って帰ってきてしまった。卵が割れないようにという思いと、なにかしら温めておいた方がいいのだろうと考えて、パーカーの真ん中のポケットに入れて両手で持ったまま歩いた。昨日の夜の雨で土は濡れて靴にまとわりつく付き、危うく転びそうになって冷や汗をかいたが、なんとか裏山から階段を下りて帰って来れた。  この卵が木の上から落ちてきて割れなかったのは奇跡的なことだし、きっと雨が止んだ後に落ちたということも、私が見つけたことも奇跡みたいなことだ。でもこの卵が無事に(かえ)るかは私次第、かも。  スーパーで売ってる卵よりは少し小さくて茶色っぽい。森の中で手に取ったとき、ほのかに暖かく、その小さい中に命があるのを感じた。
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