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今、なぜか(?)沢山の満開の桜の樹に囲まれ、真ん中で制服姿で一人用のお立ち台に立ってマイクを握っている僕。
どこからか僕が好きで歌えるアップテンポの曲が流れてきた。マイクも握ってる事やし…と、スイッチをオンにしてマイクの頭を【ポンポンッ】と軽く叩くと、どこからか【ポンポンッ】と返ってきた。うん、歌える!
歌い始めが近づく…3・2・1…
「♪♪♪」
ノリノリで歌い始めると、1本の桜の樹の幹が横に揺れだした。すると徐々に他の桜の幹も横に揺れだし、あっという間に僕を囲っている全ての桜の樹が横に揺れだした。
揺れる度に満開の花が散る。枝と枝が重なりあう度に満開の花が散って、桜吹雪になる。僕の回りは、散った桜の花弁でいっぱい。
終盤に向かって更に曲と歌は激しくなる。幹を横に揺らしていた沢山の桜の樹が、激しくなるのに連れてパンクロックヨロシク、激しく、幹がしなるくらい前後に揺れていた。
これまで横揺れしていた時点で桜の花がなくなっていてもおかしくない位散っていたのに、更に激しく前後に揺れても桜吹雪が続く。
僕は…と言うと、散った桜の花弁で埋もれた状態で歌っている。口の中に花弁が入って歌いにくい。段々息苦しくなって、恐怖をおぼえる。
曲が終わる頃には花弁に押し潰されそうになって歌えなくなっていた。目を開けるのも辛くなっていた。あー…僕はここで三途の川を渡るんやろか?最後に○○○のホールケーキ、1人で食べたかった…。
『おはよう!起きや~!今日から新学期やで~!初日から遅刻するで~!早よ起きやーーー!』
(……………ん?オカンの声が聞こえる…。新楽器?違う…新学期…こっちや!)
僕は慌てて起きる。
「おはよー…。起こしてくれてありがとう。僕、生きてる。オカンのおかげで、この世界に還って来れた。ありがとう。」
『何、朝から訳の分からんこと言ってんと、早よご飯食べて、学校行く用意し。』
「わかった…。」
学校の校門に続く道には桜の樹が植えられ只今満開!風が吹くと花弁が散って、フワフワと舞っている。
今朝の夢のせいで僕は桜の花弁に少し恐怖をおぼえる…ほんの、ほんの少しだけ桜の花が嫌いになる。
(終わり)
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