交錯する思い

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「えー、今日はみんなに知らせたい事がある。来週から1週間ロケに行くことになった。今回は全員での移動となるから各自体調にはいつも以上に気を付けるように」 打ち合わせの後、凛から突然告げられた内容に、全員が目を丸くした。 今までアクター側が近くの採掘場跡地などで撮影をすることはあったが、俳優陣も一緒になるとは珍しい。 しかも1週間後だなんてそんなすぐにスケジュールが空けられるわけがない。 「兄さん、随分な強行日程だけどみんなのスケジュールとか大丈夫なのかい?」 「問題ない。それぞれのマネージャーに確認済みだ。きちんと了承も得ている」 「……僕、今初めて知ったんだけど……」 「お前はどうせ暇だろうが」 「……」 凛の言葉を聞いて、何処からともなく失笑が洩れた。 確かに、みんなとは違い撮影も1本しかなく用事らしい用事は何も入っていない。 だがしかし、それならそうと事前に言っておいて欲しかった。だって、一週間後と言えばクリスマスを直前に控えた大事な時期じゃないか。 何故こんな無理やりな日程を組んだのかと、蓮は内心で兄に毒づいた。 だが口には出さず日程表を眺めていると、凛がチラリとこちらに視線を向けてくる。 何か言われるのかと身構えたものの、特になにを言われるわけでもなく凛は直ぐに視線を外して言葉を続けた。 時間にして僅か数秒の出来事だったが、妙な違和感を覚えて蓮は首を捻る。 凛の態度に、どこか引っ掛かりを覚えたのだがそれが何であるかまではわからなかった。 一体何なんだ。最近の兄はわからない行動が多すぎる。事件に関して何処まで知っているのかもわからないままだし、何を考えているのか、何がしたいのかさっぱり読めない。 「以上で今日のミーティングは終了だ。後は各自スケジュールに従って撮影を開始する事。以上。 あぁ、蓮。お前は此処に残れよ、話がある」 「……っ」 凛の鋭い眼差しが、有無を言わせない強さで突き刺さる。 このタイミングでの呼び出し。嫌な予感しかせず、思わず眉間にシワを寄せた。
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