交錯する思い

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「で? 話ってなに?」 他のメンバーが去った会議室で、二人きりになるなり凛が何かを言うよりも先に、蓮は先手を打って問いかけた。 わざわざ呼び出すくらいだから、きっと良い話ではないだろう。 「単刀直入に聞く。お前、ナギと付き合っているのか?」 「なんだ、そんな事か」 予想外の質問に拍子抜けし、ふぅと息を吐いた。何を言われるのかと少々警戒していたのだが、ただの恋愛事情の確認とは。 もしかしたら塩田関連の話かと思っていたのだが、とんだ見当違いだったようだ。 「なんだとはなんだ。こっちは真剣に聞いている」 凛が苛立たしげに顔を歪めた。その様子に蓮は苦笑いを返す。 真面目な凛にとって、自分が恋人を作るという事が信じられないのかもしれない。 確かに、少し前までの自分ならば考えられない事だった。 「……まぁ、そうだね。一応、お付き合いさせて貰ってるよ」 実の兄にカミングアウトするのは何となく気恥ずかしくて、照れくさそうにそう答えた瞬間、兄の表情が凍りついた。 「そ、うか。やはり、そうだったのか」 「うん、まぁ。ごめんね? 黙ってて」 まさかこんな形でバレるとは思わなかったが、いずれ言わなければならない事なので隠しても仕方がないし、素直に打ち明けた。すると、凛は何故か酷く動揺しているようで、珍しく目を見開いて固まってしまっている。 「お前は特定の相手を作らない主義だと思ってたから、正直驚いた」 絞り出したような声が聞こえてきて、蓮は困ったように頬を掻いた。 「まぁ、そうなんだけど……成り行きでさ」 そう答えると凛は無言で俯き何かを考え込むようにして押し黙ってしまう。その姿に、蓮は何となく不安を感じた。 「……それだけ? 他に何か聞きたいことあるんじゃないの?」 そう促すと、ハッとした表情で凛が顔を上げた。 だが、それは一瞬で。 次の瞬間にはまた、険しい表情に戻ってしまう。その変化に、蓮はますます不安を募らせた。 もしかして、ナギとの関係に反対なのだろうか。
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