起「出会いという名の王道ボーイミーツガール」

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 僕が走っているよりも小道の直ぐ上、森の中をやる気なさげに後方を走ってついていて来ていたオレンジ頭の少女が森全体に花を咲かせるんじゃないかと思うほど元気で明るい声を響かせた。  そして、加速して崖をぴょんぴょん飛び降りてくる。  ツインテールの元気で可愛い女の子だ。  兄である僕の贔屓目を除いても目が潰れてもおかしくないほど可愛い子だと思う。  下で走っていた少女がコケたけれど、そんなものよりもこの子を見てよ。  これだけ速度を上げて走り、崖を飛び降りるなんて激しい動きをして長いツインテールが顔にかかっても、払いもせずに真っ直ぐ目を輝かせて自分の背丈より長いナイフとフォークを掲げてる。  なんて可愛いんだろう。  僕に罪があるとすれば、この子が僕の妹だって事だよね。  しかも同い年なのに見た目が僕よりぐっと幼いんだ。  どう贔屓目に見たって、世の中のお兄ちゃんを全て敵に回してるに違いないよね。  この子、グラトニーより可愛い妹なんて早々いないだろうし。  軽やかにグラトニーはダライラライヌの間に降り立った。  僕も二輪車両のエンジンを止める。  止めざる得ないよね、だってこんな可愛い子が目の前でこの世は花盛りかってくらいに叫ぶんだよ? 「ご飯くれなきゃ、食べちゃうぞー!!!」  聞いてよ、見てよこの健康的な声の張り上げに健全極まりない口上。  これは聞かずにはいられないよね。 「グラトニー、あんまり無茶しちゃ駄目だよー」 「ご飯ー!!! お肉ー!!! デザート!!! きいちご!!!」  まったくもう、可愛すぎるんだから!!!  これはもう、撮っとくしか無いよね。  カメラを取り出してヘルメットを外し、崖の上から構えていると直ぐ下から叫び声がした。 「何してるの!!! あの子を助けないと!!!」  いるよね、自分は何もしないのに何故か第三者の行動を咎める人って。  遠い目になりながら僕は嘆息する。 「あのさあ、今の見てなかったよ。 見てなかったなら、しっかり見ときなよ」  感謝してよね、これだけでも伝えるように聞こえるように言ってあげたんだから。  これ以上、邪魔な音が入らないように首にかけていたヘッドホンで耳を塞いで僕はカメラを妹に向けた。  下手な助けなんて、あの子には不要だ。  だって、あの子は羨ましいほどに、妬ましいほどに僕なんか敵わない程強いんだから。  同じ加護持ちなのに、大罪武器を使っているのにどうしてこうもスペックに差があるのか。  カメラで目を曇らせて、ヘッドホンで耳を塞がないと到底耐えられそうにない。
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