起「出会いという名の王道ボーイミーツガール」

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 ほら、こうしている間にだってグラトニーの動きは素早いんだよね。  ダライラライヌが、口上に戸惑っている間にあっという間に懐に飛び込んだ。  大きなナイフとフォークで同時に二体をなぎ倒す、一匹はナイフで切り裂いてもう一匹はフォークで抑えつける。  可愛くて元気一杯で頼もしくて、キュートで愛らしくて……とても妬ましい。 「おにーちゃん、これ食べて良い?」  涎をだらだらと流しながら押さえつけたダライラライヌを見下ろす妹に僕はふっと表情を緩める。  けどだからこそ、この楽しげで脳天気でマイペースな妹に癒やされる。 「駄目に決まってるでしょ、生で食べたらお腹壊すよ」 「おにーちゃん、料理して」  ダライラライヌの首根っこを掴んで連れてこようとしたグラトニーに覆いかぶさるように影が飛びかかる。  無事だったダライラライヌが飛びかかってきたみたいだ。 「助けてあげて!!!」  直ぐ下でまた少女が叫んだ。 「だから何で僕に言うの。 自分の方が近いのに。 グラトニーだって幼く見えるけれど、歳は僕と同じ14だよ。 それともなあに、僕が男だから助けてあげろって言うの。 多分だけどさ、お姉さんも僕とあんまり変わらない歳だよね。 自分が助けてあげれば?」  ぎりりと少女が僕を睨んだ。 「だって、そうでしょ。 君、魔眼者だよね。 加護持ちに頼るのは間違ってない?」  まあ、彼女が僕を頼るのも分からない事じゃないんだけど。  この辺だと車が通るのがかろうじてだろうし、ここまで森が深いとダライララも多いだろうからね。  腕に自信がないとそもそもはいってこれない。  見慣れないエンジンをつんだ二輪車両を見て、凄腕の傭兵でも通りかかったのかと思ってもおかしくない。  僕が14歳の子供だって事と、加護持ちだって事を除けば。  加護を持ってる人間は魔法を使えるけど余程教育がしっかりしているか、魔法理念が精通した場所でなければ強力な魔法を使えるものは少ない。  旅をしているから強力な魔法が使える筈だって言うのなら僕にも言いたいことがある。 「君、魔眼者だよね」  少女がぎくりと表情を強ばらせた。  片眼を隠しているのになんでって顔だ。 「あのさあ」  言いかけて、少女の背後を見て僕は慌てて二輪車......ん、もう言いづらい!!!  バイクのエンジンを入れた。  そして崖からバイクごと飛び降りる。 「駄目だって言ってるよね!!!」
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