過去

23/24
前へ
/337ページ
次へ
「あはは!楽しかったねぇ!彩綾ちゃん。」 「うんっ!!」 通学路。 あたしたちは笑いながら歩いた。 麗華ちゃんがあたしを見る。 「ねえ、彩綾。」 うふふ…、麗華ちゃんがあたしのこと、呼び捨てで呼んでくれた。 思わず頬が緩む。 「あたし、自分を偽るのやめる。彩綾ちゃんの言う通りだよ。あたしは、人の上に立つべき人だもんね!」 麗華ちゃんがはしゃいで言った。 「もちろんだよ!麗華ちゃんは……ううん、麗華姫は、あたしのお姫様だもん!!」 「あはは!麗華姫っていいね!!」 それから、あたしはずーっと彼女に、麗華姫に付き従った。 麗華姫が右を向けと言ったら右を向く。 靴を舐めろと言ったら靴を舐める。 麗華姫が望むような、忠実な配下になった。 麗華姫があたしをいじめても、なんとも思わない。 逆に、嬉しかった。 麗華姫に気に入られるように、いじめられている時は、いじめられっ子みたいに泣き叫んだ。 麗華姫がこれで楽しんでくれていると思うと、嬉しかった。 ……あたしたちは恋人どうし。 それは、秘密のお付き合い。 誰にも言っていない。 もちろん、柑奈にも、聖理奈にも、ななみんにも、ぶーちゃんにも、八神にも、裕二たちにも。 秘密の恋人……。
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加