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夜風が細長い白い指で画面をタップし、何かを操作していた。
あーあ。
終わった、あたしの人生。
最悪。
あたしはただ、絶望していた。
「…………ごめん……なさい…。」
あたしの口からいつの間にか声が漏れた。
もう、疲れた。
いやだ。
あたしは、痛む体を引きずって、ぶーちゃんに土下座した。
全てのプライドを捨て去った。
「ごめんなさい…、愛香。あたしが、今まであんたにしてきたことは、謝る。お願いだから、動画、流さないで……。」
あたしの頬に涙が伝い、顎から落ちる。
屋上の床に落ちた涙が、弾けて光った。
ぶーちゃんは、何も喋らなかった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……。」
あたしは、恥を忍んで、言った。
震える手を握りしめて、荒くなる呼吸を抑えて。
「……顔を上げて、彩綾。」
ぶーちゃんが呟く。
あたしは顔を上げた。
あたしは、きっと今、ひどい顔をしているのだろう…。
絶望で真っ暗になった瞳。
汗でベトベトになった肌。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔。
でも、そんなことを、プライドを捨てて、ぶーちゃんに折れた。
もう……、助けて欲しい。
ぶーちゃんがゆっくりと口を開く。
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