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夜風が屋上の柵から身を乗り出して写真を撮影する。
「あたしも、見ていい?」
あたしは、夜風の横に並んだ。
柵から首を出し、下を覗こうとする。
その時、思いっきり襟首をつかまれ、後ろに投げ飛ばされた。
「いった……!?」
屋上にしりもちをついたあたしは、顔を上げて夜風を見る。
夜風は、首だけぐるっとこちらに向けていた。
びっくりした。
夜風が…。
夜風がそんなに冷たくて、恐ろしい目をすると思っていなかった。
「夜……風…?」
「見るな。」
夜風が静かにあたしに言い放つ。
「でもっ…!」
「いいから見るんじゃねぇ。」
夜風の、あたしのことを何も考えていないかのような物言いに、カチンときた。
「なんで!?あたしだって、立派に復讐しているんだよ?なんで見ちゃいけないの??」
「愛香が見ていいものじゃねぇ」
「あたしは子供じゃないんだから。見るくらいいいでしょ?」
あたしと夜風はしばしの間見つめあった。
嫌だった。
そりゃあ、中心的に復讐を進めているのは夜風かもしれない。
だけど……。
本来、これは「あたしの」復讐なんだ。
夜風は単なる協力者。
中心は、あたしのはずなのに……。
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