13人が本棚に入れています
本棚に追加
父が間に入り、虫を料理するときは専用の調理器具を使うことと、葉菜には虫を見せないということで話がついた。
母の方は葉菜と一緒で虫が大嫌いだったので、できれば処分してきてほしかったのだが、子供の興味の対象を奪うなと父が説得し母が折れた。
それからの葉菜は、陽の部屋に一切入らなくなった。
だが、香りは葉菜の心を刺激する。
あの時見たサクラケムシが桜の葉だけ食べることは葉菜も知っている。
葉菜はすっかり桜が嫌いになって、桜の木に近づけなくなってしまった。
桜の木の下に行ったらサクラケムシが落ちてくるかもと思うだけで、葉菜は震えが止まらなくなるのだった。
それでも香りへの興味だけは抑えることができず、葉菜はある考えにとらわれていた。
最初のコメントを投稿しよう!