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呼ばれるまま、そばに寄ると、
「呼び出したりして悪かったな」
相馬課長はふっと顔を崩して笑った。
「……いいえ」
もしも私だけに向けられたらとも感じていたその笑みに、胸がとくんと高鳴る。
「……本社に行ったら、もうおまえとも会えなくなるな。なぁ春野、」
ふと名前を呼びかけて、言葉を切ると、相馬課長が私の顔をじっと見つめた。
「……俺が本社に行っても、おまえは、俺を忘れないでいてくれるか？」
今にも涙がこぼれそうになり、コクッとだけ頷く。
「……そうか。……俺も、おまえを忘れないからな」
別れの寂しさに、目尻に滲んだ涙が流れ落ちると、
「……ああ、泣くな。泣かせるつもりで、言ったんじゃないから」
課長の長くしなやかな指が、涙のつたった私の頬にそっと触れた。
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