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「桜とさくら 藤枝 咲 僕は、桜が嫌いです。 何故なら、さくらを思い出すからです。 さくらは、僕の唯一の友達でした。 さくらには、両親がいませんでした。 さくらは、片目と両足が不自由でした。 僕は、心臓の病気でいつもベッドで過ごしていました。 あと少しになった時、話しかけてくれたのがさくらでした。 僕に名前をつけてくれたのも、さくらでした。 よく、一緒に、窓の外の桜を見ていました。 あと3日になったとき、『来年もこの桜、一緒に見ようね』と言われました。 でも無理だと言うことは、僕は分かっていました。 あと2日になったとき、僕は急にとても苦しくなりました。 その時、僕は体に何かを打たれました。 その時、近くにいたさくらが悲しそうな笑顔でこちらを見ていました。 喋ろうと思ったけど上手く舌が回らなくて、そのまま僕は眠りました。 それから目が覚めると、いつもの天井がありました。 もう無理だと思っていたけれど、僕は奇跡的に助かりました。 心臓のドナーが見つかったそうです。 その時、僕は全てを悟りました。 案の定、横にさくらは居ませんでした。 窓の外を見ると、桜が散っていました。 あれから5年が経った今でも、桜を見るとさくらを思い出します。 なので僕は、桜が嫌いです」 大きな拍手が上がる教室の外では、 満開の桜が咲いていた。
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