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そして冬音がリビングに入った途端、声をかけられた。
「おい、今日誕生日のやつが辛気臭ぇ顔して入ってくじゃねえよ」
冬音はパッと顔を上げた。
だるそうな声で話しかけてきたのは冬音の兄、架宮冷だ。
冷は大学を卒業して就職しているが、完全にリモートで行う仕事なのでほとんど家にいるのだ。
「ふん、人間悩みの一つや二つくらいあるから仕方ないでしょ」
と、冬音は素っ気なく答える。
「あ、そうだ、お前に渡すものがあるんだよ」
冷はそう言い、近くに置いてあったカバンからゴソゴソと何かを取り出した。
「ほらよ」
冷は取り出したものを冬音に手渡した。
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