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なるほど、だったら辻褄が合う。
「じゃあ、ここからは分かれようか」
雪が冷静な声で言った。確かに、こんなに道があるのにまとまって探すというのは流石に効率が悪い。
それが適切な判断だろう。
だが冬音は不安を隠しきれないでいた。
表には出さなかったが今現在も少し怯えている。てか普通に帰りたい。
だが、瑠璃の頼みを引き受けた以上、逃げるという選択肢はないのだ。
瑠璃にも迷惑がかかるし、何より最終的に決断をしたのは自分だ。
もう覚悟は出来ている。
「そうだね、その方が手っ取り早い」
「……………」
そう答える瑠璃を横目に雪は冬音を見つめていた。すると、スイ~っとこちらに移動してきた。何だと思っていると、意外にも真面目なトーンで言った。
「フユ、危険だと思ったらすぐに引き返して。もし霊がいても近づかないで。万が一のときはフユの方に俺が行くから」
雪はいつになく真剣な表情で冬音にそう忠告した。本気で心配してくれてるのだろう。
雪も一応、私の守護霊だもんね………
冬音はそう思った。いつもは隙あらばイタズラしようとするし、何に対しても楽観的でこいつ大丈夫かと思うことは何度かあった。
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