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せ、雪だって危険だと思ったら戻ってきてって言ってたし!私はそれに従順に従ってるだし!
そう必死に自分に言い聞かせた。もう冬音の心臓はバクバクだ。一旦落ち着こうとして扉に寄りかかる。
ふぅと息をつきながら逃げる算段を立てていると────衝撃の出来事が起こった。
バタァアアン!!
ものすごい音。体が浮く感覚、と同時に後ろに倒れていく感覚。
冬音は何が起きたか全く分からなかった。
直後、背中に大きな痛みを感じ、ガバッと起き上がる。
青ざめた顔をゆっくりと動かしながら状況を把握しようとした。
倒れいる焦げ茶色の扉、背中に感じる痛み、
先程の浮遊感。
そして────それを不思議そうに見つめている人魂と狼。
う、嘘でしょ?
どれだけ扉が古かったのか、冬音が寄りかかっただけで扉は呆気なく倒れてしまった。
待って待って待って、そんなに体重重かったっけ?扉が倒れるほどの体重だったっけ?
自分の体を見ながら冬音はわなわなと震えた。原因は扉の古さだが。
っていや!!今はそんなことより………
冬音は人魂と狼の方を恐る恐る見た。
今思えば、狼が人魂を襲っているようにも見える。
だが狼の視線は冬音。
飢えた猛獣のような鋭い眼光で冬音をじっと見ている。
これ私、死ぬ?
え、ほんとに?狼に襲われて死ぬの?
嫌なんだけど、私まだ人生これからなんですけど!
もんもんと後先のことを重く考える。
もちろん、慈悲を与えてくれるような相手ではない。じりじりとこちらに歩み寄ってくる。
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