第1の霊 雪

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「これ………!めちゃくちゃ人並んでて買えなかったお菓子!」 手渡されたものは冬音が好きなお菓子屋のお菓子だった。 このお菓子は特に人気で、冬音にとって簡単に入手出来るものではなかったのだ。 冬音の表情が自然と明るくなる。 「ま、一応お前の誕生日だしな、これくらいはやる」 「そ、そっか………ありがとう」 スマホをいじりだした冷に向かって冬音は視線を向ける。 まさかこんな適当な兄が自分の誕生日を覚えていたのか、と少し感心し、貰ったお菓子を手に収めたまま自分の部屋がある二階へと向かった。 部屋に入るなり冬音は鞄を乱暴に投げ、お菓子を机に置き、ふかふかのベッドにボスッと身を投げた。 さっきの冷との会話で忘れかけていたが、今冬音は大きな悩みを抱えているのだ。
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