ちはやぶる

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ちはやぶる

古今集294 二条の后の 春宮(皇太子)の御息所と申しける時に、 御屏風に竜田川にもみぢ流れたるかたを かけりけるを題にてよめる ちはやぶる神代も聞かず竜田川   からくれなゐに水くくるとは         在原業平朝臣 (不思議なことが多かった神代にも聞いたことがない。 竜田川が真っ赤に括り染めになるなんて。) この歌は、 実際の風景を見て詠んだ物ではなく、 屏風の絵を見て詠んだ歌。 在原業平と二条の妃(高子)は、 かつて恋愛関係にあったそうな。 『ちはやぶる』 (神にかかる枕詞 激しい・荒々しい様子) 『からくれない』(濃く美しいくれない) という言葉から、 ふたりの昔の恋の激しさを、 勝手に想像してしまう。 そして、 高子が春宮(皇太子)の后になった後なのに、屏風絵を見て詠むという形を取りながらも、こんな歌を詠んで… 「今でもまだあなたのことを忘れられません。」という想いがダダ漏れではありませんか? こんな歌を見て(聞いて)、 高子も心が揺らいだんじゃないでしょうか。 あくまでも、 勝手な想像(というか願望)ですが。 繰り返すが、 こんな恋、したことがない。 してみたいです。とても… 彼氏いない歴21年(くどいですが…) ところで… 私は、 恋多き乙女(?)だったと、思う。 記憶にある初恋は、小学校1年生。 棟田君という、 近所に住むクラスメイトだった。 今考えると、 カッコイイ男の子というより、 優等生タイプだったように思う。 ご近所に住んできたのだが、 ある時、ちょっと離れた所に引っ越した。 転校はしなかったけれど。 それまでの家は、 多分おじいちゃん、おばあちゃん (と、叔父さんとかも居たのかもしれない)が一緒に住んでいたのか、 少し大きな家で、 “1年生”の私にはちょっと行きにくい家だった。 それで、 引っ越したのを機会に、 勇気を出して遊びに行ったことがあった。 呼び鈴を押すと、 彼が出て来て家に上げてくれた。 やった!と喜んだのも束の間… 先客がいた。しかも、女子ふたり。 仕方なく(?)4人で遊び始めたのだが、 なんとなく… 棟田君は、 ふたりのどちらかが気になっているらしく、 私はなにやら蚊帳の外に置かれた感じ…。 私は自分の中で “終了”の鐘が鳴るのを感じた。 「お邪魔しました。先に帰るね。」 こうして私の初恋は、 あっけなく終わったのだった。
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