三章 崩壊するハッピーエンド

37/51
前へ
/217ページ
次へ
そしてガルボルグ公爵は項垂れるライボルトの腕を掴み「期待してますぞ、ローリー殿下」と吐き捨てるように言うと、部屋から去っていった。 父の重たい溜息が聞こえた。 「民はマティルダに何かあったのかと心配している」 「え……?」 「あの男爵令嬢を追いかけ回していたお前なんかよりも、マティルダの方がずっと国民から慕われているということだ」 「そ、そんな……嘘だ」 「状況が見えたのなら、さっさとマティルダを連れ戻してこいッ!連れ戻せなければライボルトと同じ未来が待っていると思えっ!!!」 「は、はい!」 「二部のパーティーは中止だと伝えろ!」 父が執事に指示を出す。 (こんなはずじゃなかった……) 最高の誕生日になるはずが、一転して最悪な誕生日になってしまった。 ローリーは明るくなった部屋の中で、手のひらを握りしめていた。 まさか自分が追い出したマティルダを探さなければならないとは……。 (今すぐマティルダを探し出すしかない……!) ローリーは騎士団を呼んで、すぐに捜索隊を出すように頼んだ。 (まだそう遠くには行っていないはずだ!絶対に間に合う)  
/217ページ

最初のコメントを投稿しよう!

666人が本棚に入れています
本棚に追加