三章 崩壊するハッピーエンド

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そこには、行く手を阻むように黒いウサギの仮面をつけた男が空中に浮いて立っていた。 その肩には紫色の美しい鳥がとまっていたが、バサバサと音を立てて窓から飛び立っていく。 ローリーの部屋に紫色の羽が舞った。 『君がマティルダを傷つけて国外に追放した。それなのに今更、取り戻そうとするなんてどういうつもり?』 「……!」 『これ以上、マティルダに関わろうとするならば僕が許さない』 ベンジャミンの言葉はほとんど頭に入らなかった。 それよりも〝マティルダが生きている〟ということに衝撃を受けるのと同時に、まだ自分に希望があると思った。 そして目の前にいる男は父とガルボルグ公爵が言っていた『ベンジャミン』だと推察することができた。 「お、お前はベンジャミンだな!マティルダはどこにいる!?生きているのだな……!」 『…………』 「今すぐに連れ戻さなければ……っ」 そう言った瞬間に、体が吹き飛んでしまうほどの暴風がローリーを襲う。 窓ガラスが弾け飛ぶように割れて大きな音を立てた。 「ぐっ……!」 『僕の話、聞いていた?マティルダに近づくなって言っているんだけど』 ローリーは息もできないほどの風に悶えていた。
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