三章 崩壊するハッピーエンド

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何事かと部屋に入ってきた侍女達が大きな悲鳴を上げたが「助けて」ということもできない。 すると騒ぎを聞きつけたのか父や騎士達が部屋にやってくる。 「ベンジャミンか……!」 父が声を発するのと同時に、ビュービューと吹き荒れていた風が止んだ。 ローリーは壁から滑り落ちるようにしてその場に座り込んだ。 いつもならば魔法で対抗できるのに、ベンジャミンに対しては何もできなかった。 (信じられない……!じ、次元が違う。違いすぎる……!) 王族故に魔法に関しては自信があったが、それが反撃する間もなく赤子のようにねじ伏せられてしまった。 その衝撃もありローリーが動けないでいると、ベンジャミンは宙に浮かびつつもこちらに歩いてくる。 父の後ろに控えている騎士達も恐怖からか震えている。 そして再び空中に文字が浮かぶ。 『これ以上、マティルダに関わるな』 「ベンジャミン、説明してくれ。マティルダは生きているのか!?」 『それを知ってどうする?』 ベンジャミンがグッと父に距離を詰めたが、自分と違って父は動じることはなかった。   
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