三章 崩壊するハッピーエンド

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ローリーはその隙に立ち上がり、動いたことでガタリと音が立つ。 するとベンジャミンの仮面がこちらを向いた。 『マティルダが不当な扱いを受けたことが許せない。しかもコイツは自分のためにマティルダを取り戻そうとしている』 「何!?本当か、ローリー」 「ですが父上!この事態を収めるためにはマティルダを連れ戻さなければ……!」 「いいや、もう遅い。お前はこの騒ぎの責任を取り廃嫡として、ウィリアムが王太子となる準備は進められている」 「なっ……そんなっ、嘘だッ」 「この事態を引き起こした責任を取らねばならん!この事態をいかに早く納めるか……それにかかっているからな」 「待ってください!まだ一カ月しか経っていないのですよ!?それなのにっ」 ローリーは父の言葉に愕然とした。 一カ月と少しで転げ落ちるようにローリーは何もかも失って行く。 それを元に戻そうと必死に動いても、こうして大きな壁が立ち塞がる。 (折角、マティルダは生きていたことがわかったのに……っ!国に戻せば廃嫡にはならずに済むのではないのか!?) 父とベンジャミンが何かを話しているのをどこか他人事のように見ていた。 「おい、聞いているのか!ローリーッ」 「…………っ」
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