三章 崩壊するハッピーエンド

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「ローリー殿下……落ちいて私の話を聞いてください」 「……ッ」 シエナはローリーが怒っているにも関わらず、いつものようにニッコリと笑いながらこちらに近づいてくる。 そしてローリーの手を優しく握った。 振り払おうとしても、凄まじい力で押さえられている。 「今すぐ離せ……っ」 「ねぇ……ローリー殿下。この物語はおかしくなってしまったわ」 「は……?」 「元に戻しましょう?だからわたしと一緒に来て下さい」 シエナは淡々とそう語った。 それにはローリーも動揺していた。 「意味のわからないことを言うな……!それと俺の前に二度とその顔を見せるな!」 ローリーがそう言うとシエナは一瞬だけ真顔になると、口角をあげてニタリと笑った。 「ウフフ、本来の形を取り戻せるのに残念だわ。ライボルト様、行きましょうか」 「ああ……」 ライボルトの目の下はクマがひどく、頬が痩せこけている。 シエナの言葉に素直に頷いている。 こんな状況に追い込まれているにも関わらず、自信満々の二人を見て、ローリーの頭にある言葉が過ぎる。 (もし、本当に元に戻せるのなら……)
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