一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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ガルボルグ公爵は今まで見たことがない満面の笑みでマティルダを褒め称えたかと思いきや更に上を目指せるからと、とある人物を呼び出してくれた。 それがこの国で一番と言われている魔法の実力を持っているらしい『ベンジャミン』と呼ばれている男だった。 あまり表に出てこないことも要因で、国王ですら彼の居場所を知らないと言うのだから驚きである。 そんなベンジャミンにガルボルグ公爵はダメ元で交渉したらしいが、案外簡単に了承をもらえたそうだ。 パープルグレーの髪は女性のように長く、後ろに結っており、爽やかな白と紫の燕尾服は最強の魔法使いというよりは執事のようだ。 常に黒いハーフグローブをしており、潔癖症なのかと勝手に思っていた。 そしてマティルダはベンジャミンの顔を一度も見たことがないし、声を聞いたことはない。 というのも彼との会話は空中に浮かぶ光る文字だからだ。 何より訳がわからないと思ったのが四六時中、黒い兎の仮面をつけていて絶対に外さないところだった。 そんな彼はブルカリック王国の危機を何度も救っているらしい。 大旱魃の際には国全体に雨を降らせて、街を破壊する巨大なドラゴンを一瞬で撃ち落として、押し寄せる魔物の大群を一瞬で消し炭にしたという話もある。 しかし大した御礼も受け取らずに去って消えてしまう。
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