三章 崩壊するハッピーエンド

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あの地位に戻れるのならなんだってする、ローリーはそう思った。 この場から去ろうとする二人を引き止めるようにして声を上げた。 「ちょっと待て……!どういうことか説明しろっ」 ローリーの声に二人はピタリと足を止めた。 ニッコリと微笑んだシエナは首を動かして少しだけ振り返る。 ライボルトが呟くようにして言った。 「マティルダを取り戻すんだ」 「……なん、だと!?」 確かにマティルダが戻ってさえすれば、ガルボルグ公爵も満足するだろう。 しかしマティルダは今、ベンジャミンといて居場所もわからない。 そんな状況でどうやって取り戻すというのだろうか。 そしてベンジャミンはマティルダに執着しているように見えた。 最強の魔法使いである彼にとって自分は赤子のように捻り潰されてしまう。 ベンジャミンの言葉と塵になったソファを思い出したローリーは首を横に振った。 「…………無理だ」 「無理じゃない。わたしはあの方の居場所を知っているわ」 「は……?」 「そこにマティルダもいる。絶対に……」 シエナは怪しい笑みを浮かべたまま肩を揺らしている。 「あの魔法使いに勝てるわけがないっ!」 「当然よ。ベンジャミン様に勝てるわけないでしょう?」 「ベンジャミンを知っているのか!?」 「わたしがベンジャミン様を説得するわ。その間にあなた達はマティルダを国に連れて帰ればいい」 「シエナはどうするんだ?」
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