一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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(魔法使いというか……もはや英雄?守り神かしら) ベンジャミンについては正体不明で女性なのか男性なのか子供なのか、はたまた人間なのかという疑問や不思議な噂しかないそうだ。 (ベンジャミンは、乙女ゲームに出てこなかったわよね?) 出てきたら絶対に記憶に残りそうな奇抜な風貌である。 そんな得体の知れないベンジャミンだが、乙女ゲームに登場していないと思うと気楽に話ができたし、なにより文字で会話していることと、表情がみえないことが相手の顔色を伺わずに済むので気楽だった。 マティルダになる前に、たまたまクレーンゲームでゲットしたモチモチとした手触りの黒ウサギのクッションを思い出すからかもしれない。 会社で辛く苦しい目にあっても、大失敗して心が砕けそうな時も、黒ウサギのクッションを抱きしめて眠ると次の日、不思議と元気を取り戻せる魔法のようなアイテムである。 それが常に頭にあったからか、自然とベンジャミンの前では素を出すことができていた。
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