一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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ベンジャミンと魔法訓練として森に出かけた時には空を飛んだり、突風が刃のようになったり、火や水を手から出したり、指を鳴らすだけで花を咲かせたり、雷で大木を真っ二つにしたり……。 マティルダと侍女達は、そんなベンジャミンを見ながら手を叩いて大喜びであった。 普通、魔法の属性は一つか二つしか持てない。 しかしベンジャミンは様々な魔法属性を簡単に使いこなしている。 本人は隠しているつもりはないらしいが、夕食の時に何気なくガルボルグ公爵に話すと、いつも険しい顔をして表情を変えないガルボルグ公爵が愕然として慌てて国王に報告に向かったくらいだ。 ほぼ全属性を使えると言っていたが、マティルダからすれば意味がわからないくらい凄いことだと思った。 「本当に全属性を使えるのですね……!」 『ほとんどは使えるけど、僕は光魔法だけは使えないんだ』 「……光魔法」 そう聞いて思い出すのは珍しい光属性を使えるヒロインのシエナの存在である。 しかしこんな時までシエナのことを考えたくはないと、別の話を振った。 「わたくしは一属性だけですから羨ましいですわ」 『マティルダは十分強い魔法を使うじゃないか。もしかしたら少しなら他の魔法も使えるかもしれないよ?』 「本当ですか!?是非、教えてくださいませ」
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