四章 最強の夫婦

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シエナは事が落ち着くまで城で軟禁されていたそうだが、なんと部屋から抜け出して逃亡したそうだ。 黒く焼け焦げた鍵と、護衛の魔法騎士を痺れさせて発見を遅らせた。 彼女の脱出を手助けした者…ライボルトもガルボルグ公爵邸を抜け出したのだと大騒ぎになっているらしい。 (まさかシエナにライボルトお兄様まで……どうなっているの?こんな展開、ゲームにはなかったはずなのに) ハッピーエンドどころか、本人達にとっても最悪な展開になっているようだ。 それに加えて、ガルボルグ公爵がマティルダのために怒ったというのも意外だった。 (あのお父様が……わたくしのために怒ったというの?本当に?) お前の失態だと責められそうな気がするのだが、思い出すのはガルボルグ公爵邸にて今まで厳しく接されてきた日々だ。 マティルダがケーキを食べる手を止めて、無意識に顔を歪めていると、ベンジャミンがこちらを不安そうに見ていることに気づいて顔を上げた。 『マティルダ、ごめんね』 「……え?」 『君がこれを聞いて嫌な思いをしてしまうのではないかと思ったんだ。今も悲しそうな顔をさせてしまっている。あんな辛い出来事を思い出させたくなかった』
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