四章 最強の夫婦

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マティルダの言葉にベンジャミンは少し悲しげな表情で頷いた。 どうやらうまく誤魔化せたようだ。 実際、ガルボルグ公爵邸ではガルボルグ公爵家の人間として恥ずかしくないように…そんな基準で選ばれたものを身につけていたため、マティルダに選択肢は一切なかった。 ガチガチの厳しい場所で育ったマティルダが間違いを許せなくなってしまうのは仕方のないことだろう。 枠から外れること自体、マティルダには『悪』だったからだ。 そしてそれを平然と超えてしまうヒロインのシエナがマティルダは許せなかったのだろう。 何故ならば、自分が本当はそうしたいという欲を必死に抑え込んでいたから。 感情が抑えきれなかったマティルダはヒロインにさまざまな方法で苦痛を与えていく。 しかし今回はそれをしていないのにも関わらずに国外に追放されてしまった。 そして先程、ベンジャミンから話を聞いた通り、三人は追い詰められているところを聞くと、恐らくマティルダはシエナやライボルトに嵌められたのだろう。 そしてシエナとライボルトの嘘に巻き込まれたローリーとは破滅の道を辿ってしまった。 マティルダになってから辛いこともあったが、やさぐれることなく、いい人になろうと真っ直ぐに生きていてよかったと思っていた。 (もうこれで乙女ゲームは終わりなのかしら……そうだといいな)
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