四章 最強の夫婦

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(テーブルに置いておいて、気づいたら〝プレゼントです。いつもありがとうございます〟と言って渡せばいいわよね) ベンジャミンが何事もなく無事に帰ってきたら、いつものように温かいハーブティーを飲んで、今日買ってきた砂糖菓子を食べながら、話せたらいいなと思っていた時だった。 「え……?」 目の前に白くて小さな光がチラついた。 (なにこれ……?虫、じゃないだろうし) 暫く浮遊していた光をマティルダは目で追っていたが、窓から出て行ってしまう。 いつもベンジャミンがいない時に必ずマティルダの側にいたトニトルスはイグニスを逃がさないように監視中なので、相談もできない。 新種の魔獣かもしれないと考えを巡らせながら、マティルダは光が入ってこないように窓を閉めた。 すると、またどこからか同じ光が入ってくる。 マティルダは初めは光の玉を無視していたが、まるで誘い出すように部屋の中をウロウロしては窓の外に出ていく光を見ながら鬱陶しいと思っていた。 (必要以上に屋敷から出るなってベンジャミン様に言われているけど……なんだか〝こっちに来い〟って、誘われているような気がする) 再び窓を開けて注視してみるが辺りは暗くて何も見えない。
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