四章 最強の夫婦

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あれだけイケメンならば、あり得ない話ではないと思っていたが、ベンジャミンに魔法を教わるにも基礎ができていて魔力の底上げができていなければ意味がない。 本来の乙女ゲームでは学園で血の滲むような努力を重ねて、攻略対象者達と愛を育みながらヒロインが癒しの力を目覚めさせるのだが、それ以外に方法があるというのだろうか。 しかしシエナの今までの行動は、それが裏目に出ているような気がした。 それに先程シエナが使った魔法を見る限りでは少しも魔法訓練をしていないように見える。 (ローリーを選んだということは、シエナには特別な魔法講師がついていたはずよね…?) 光の玉を浮かべていただけのシエナはとても訓練を受けているようには見えなかった。 「……ベンジャミン様は返してもらうわ!」 「あなたのような人を、ベンジャミン様は好きにならないわ」 「違う!間違いなく好きになるわっ!これが正しい道なのよっ」 「その正しい道を踏み荒らしたのはあなたの方でしょう?」 「…………っ!」 俯いて肩をブルブルと震わせているシエナは唇を噛み、涙を浮かべながらこちらを睨みつけている。 ライボルトは自分に想いを向けられていないにも関わらず、まだシエナを守るつもりでいるようだ。 電気を纏った手をこちらに向けて「これ以上、シエナを傷つけるな!」と声を上げている。
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