四章 最強の夫婦

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結果的に各国から英雄のように持て囃されていたベンジャミンだったが、師匠を探す意味合いがあると言っていた。 溜まる一方の魔力も放出できて一石二鳥だと語っていた。 そして今回の誰かの魔法によって引き起こされた魔法は魔族でもなくベンジャミンの師匠でもなくローリーだったようだ。 その証拠にローリーが着ている同じ黒いローブには水が滴っている。 (まさかローリー殿下が……守るべき国を魔法を使って危機に陥れるなんて) マティルダは震える声でローリーに問いかけた。 「まさかとは思いますが、ローリー殿下が大波を起こしたのですか?」 「ベンジャミンがここにいたら、お前を連れ戻せないからな」 マティルダの問いかけを否定もしないことに驚いていた。 シエナが「ベンジャミン様は今、どこに?」と問いかけると、ローリーは「波を抑えている」と当然のように言った。 それと同時にライボルトが「作戦が上手くいったな」と喜んでいる。 この会話からシエナ、ライボルト、ローリーがこの出来事を引き起こしたのだとわかる。 大きな怒りが湧き上がってくる。 何より国やベンジャミンを利用したことが許せなかった。
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