四章 最強の夫婦

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ローリーとライボルトは失神する寸前だった。 しかし何を勘違いしたのかシエナは嬉しそうに手を合わせている。 着ている服は土で汚れており、フラフラと立ち上がると瞳を輝かせてこちらに向かってくる。 「その美しさは間違いない……!やっぱりベンジャミン様だわ!他の攻略者とは比べものにならない!やっぱりあなたは特別なの……!」 「…………誰?」 「私はシエナ、シエナ・レデュラです!ベンジャミン様は私に魔法を教えてくれるうちに、恋人同士になって、ゆくゆくは夫婦になるのよ……!」 「………?」 「なので、邪魔者は排除致しましょう!?」 そう言ってシエナはマティルダを思いきり睨みつけた。 シエナの視線に気づいたベンジャミンはマティルダを庇うように前に出る。 「ベンジャミン様、私を助けてくださいっ!」 「……意味が分からない」 「私が本来、ベンジャミン様と結ばれるのです!一緒にここで幸せに暮らしましましょう!?」 ベンジャミンは苛立ちからか眉を顰めている。 土だらけで「私がベンジャミン様と愛し合うのっ!」と叫び続けるシエナが滑稽に思えた。 (〝シエナ〟は物語に囚われたままなのね) そんなシエナの前にベンジャミンが顔を顰めて言い放った。
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