四章 最強の夫婦

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「僕はお前を許さない」 「……え?」 「お前はマティルダをあんな目に合わせた張本人だ。そんな奴と一緒に暮らすなんてあり得ない」 「それは仕方なく……っ」 「マティルダは僕の大切な人だよ。死にたくなければ二度と僕の前に姿を現すな」 「嫌よ……!こんなのっ、私……っ」 シエナは大きく目を見開いたあとに震える手で両手を覆ってしまった。 肩を揺らして泣いているのかと思いきや、手は力なく項垂れる。 そしてヘラリと笑いながらブツブツと小声で呟いている。 「ウフフ、そうよ!リセットすればいいのね……!今度は間違わないんだからっ」 「リセット……?」 その言葉にゾッとしていた。 シエナはマティルダから見て、もう正気だと思えなかった。 「お前達はブルカリック王国に送り、然るべき処罰を受けてもらう」 「…………嘘だ」 「いやだ……俺の未来がっ、俺の地位が……」 ベンジャミンは仮面をつけてから、パチンと指を鳴らした。 すると三人の体が力なく宙に浮かぶ。 シエナはずっと何かを呟いており、ローリーは項垂れて、ライボルトは体を震わせながら頭を抱えている。
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