一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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城の中で従者達と挨拶を交わしながらいつもの部屋へと向かい、魔力が空っぽになるまで金色の玉に力を込めた。 城に明かりが灯り、町もイルミネーションのように光り輝いている姿を見ると、みんなの役に立っているのだとやりがいを感じていた。 それに国王や王妃にも感謝されて一石二鳥である。 (いざとなったら助けてもらいましょう……!) 自分の仕事が終わればローリーと顔を合わせることなくクタクタになってガルボルグ邸に帰る。 マティルダを避けるようにライボルトはわざとらしく去っていく。 ベンジャミンとの出会いによって無意識に己を高め続けていたマティルダは、そのことによって王太子であるローリーや、兄のライボルトから反感を買っていることには気づいていなかった。 そんな中でも、なんとか踏ん張りながらマティルダの運命を変えようと奮闘していたのだが……。 (………ついに、学園に入学してしまった) 恐れていた乙女ゲームがスタートしてしまった。 マティルダは学園の門を見ながら震える体を押さえていた。 姿勢良くカバンを持ちながら険しい顔で見上げていたので、周囲の生徒達はマティルダを避けて去っていく。 グッと手に力を入れて一歩踏み出そうとすると足は竦んでしまう。 ここに入ってしまえば、もう逃げられないような気がしていた。
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