一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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(環境が変われば何か変化もあるだろうし、まだ余裕はあるわよね。きっとヒロインと関わらなければ何事もなく卒業パーティーを迎えられるはず) それまでに頑張ればいいやと考えていたマティルダに突然、悲劇が訪れる。 ──学園に通い始めて半年が経った頃だった。 学園では顔を合わせても挨拶のみのローリーやライボルトは生徒会に入ったらしいが、それもマティルダに伝わることはなく、間接的に聞いただけだった。 度々、シエナと二人きりで歩いていたという報告は他の令嬢達から受けていたが、マティルダは「あらあら…」と言って余裕を崩さなかった。 だが心の中では『やはりな』とシナリオ通りに進んでいることに戦々恐々としていた。 しかし今の段階ではシエナに関わらないことが一番いいことだと思っていたからだ。 まずは身の潔白を証明する。そうすれば余計ないざこざに巻き込まれずに済むし、悪役令嬢として認定されることはないだろう、と……。 しかし王太子であるローリーの誕生日パーティーが開かれる時期だと思っていたのだが、パーティーに関してローリーからの音沙汰がない。 侍女達は「信じられない」と怒っていたが婚約者として何もしないわけにもいかず、仕方なくマティルダは準備を進めていた。
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