一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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恋仲になりたいとは思わない。せめて他の人達と同じように仲良くしたいと思うことがこんなに苦労するとは思っていなかった。 扉が開いて会場に到着すると、マティルダに集まる視線。 いつもとは違う感覚に首を傾げていると、仲がいい令嬢達が怒りに顔を歪めてこちらに突進するように駆け寄ってくる。 「どうしたの?」と問いかける間もなく、腕を引かれて会場の端を進んでいくと信じられない光景が目に映った。 「え……?」 壇上にいるローリーの隣にはヒロインのシエナの姿。 それから兄のライボルトに、騎士団長の息子であるバルーゼと攻略対象者がずらりと並んでいる。 口をあんぐりと開けているマティルダとは真逆で、ローリーはいつもにも増して不機嫌そうにシエナを抱きしめており、彼女は悲しそうに眉を顰めている。 (この光景……どこかで見たことあるような気がするんですけど) そう思い、考えてみるとマティルダが断罪される卒業パーティーの時の構図によく似ているような気がしていた。 (まだ学園に入って半年も経っていないんですけど!?) 会場入りしたマティルダにまだ気づいていないのかシエナを気遣うように声を掛けるローリー。
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