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側にいる令嬢達は「今すぐ国王陛下の元に行きましょう!」「こんなの納得できません!」「わたくし達はマティルダ様の味方ですから」そんな声が耳に届く。
しかしマティルダの姿を見て騒めく会場。
こうなってしまえば見つかるのも時間の問題だろう。
マティルダは悔しそうに顔を歪めている令嬢達を集めてあることを呟いた。
「お願いね。これはあなた達のためなの……!」
令嬢達は「絶対に嫌ですわ!」「とんでもない」と言っていたが、近くにいた彼女たちの婚約者を呼んで同じことを言う。
彼らも眉を顰めていたが「時間がないわ。連れて行って」と、真剣な顔で言うと令嬢達は納得していないようだが婚約者の令息達は、いつもとは違うマティルダの切羽詰まった様子に頷いて、彼女達をマティルダから離れた場所に連れ出した。
マティルダが令嬢達が離れたのを確認した後に、ゆっくりと道が開けていく。
間に合ったと安堵している間もなく、注目の的になってしまった。
「ここまで来い、マティルダ」
「……はい」
マティルダは返事をしてからローリー達の元まで足を進めていく。
コツコツとヒールの音が静まり返った会場に響いた。
やはりマティルダを見る周囲の視線がいつもとは大きく違っていることに気づく。
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