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しかし、なるべく表情に出すことなくマティルダは堂々と立っていた。
こちらに気づいたのか刺すような視線が壇上から降り注ぐ。
マティルダは挨拶をしつつ、ローリーの言葉を待っていた。
(大丈夫……!だって、わたくしはヒロインとも関わっていないし、虐げたりしていない!)
にこやかな表情で顔を上げるが、心臓は飛び出してしまいそうなほどドキドキと音を立てていた。
そしてローリーから掛けられた言葉は信じられないものであった。
「マティルダ・ガルボルグ……お前には失望したぞ」
「何の話でございましょうか」
「しらばっくれるな。調べはついている」
「調べとは?」
「ふん……随分と余裕だな」
「身に覚えがありませんので」
「皆の前で恥を晒したいのなら構わない。馬鹿な奴だ」
いつもより饒舌にローリーのこちらを責め立てるような声にもマティルダは取り繕いつつも、心の中では動揺しっぱなしであった。
何か悪いことをした覚えもないため、胸を張って立っていていいんだと言い聞かせるものの、明らかにマティルダを敵意を送るローリーやライボルト達。
その姿を眺めながら〝違いますように〟と、祈るような気持ちでいた。
(……こんな展開があるなんて想像もしていなかったわ)
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