一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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次々とローリーから語られる全く身に覚えのない罪にマティルダは空いた口が塞がらなかった。 まさかこんなにもマティルダの意見を無視するような形で押し進められていくとは思わずに頬がピクピクと痙攣するように動いていた。 (どういうこと……!?流石に無理がないかしら?) 後ろから仲のいい令嬢達のくぐもった声が響いていたが、マティルダは視線を送りつつ首を横に振った。 それに周囲もマティルダの人柄を知っているからか、ローリーの言葉に首を捻っている。 マティルダは学園でシエナと話したことがないどころか関わったことがない。 あまりにも強引すぎる展開だ。 もしシエナがローリーにそう言ったのだとしたら何故ここまで堂々と嘘をつけるのかが不思議だった。 昼の部には学園の生徒達しかおらずローリーに逆らえるものはこの場にはいない。 国王やガルボルグ公爵がいればまだ、マティルダを庇ってくれるかもしれないが今はその姿はない。 まるでそれすらもローリー達に仕組まれているように思えた。 (わたくしが学園をのんびり過ごして、城に蓄電しに行っている時に一体何が……) 断罪内容は概ねあっているような気はするが、今は卒業パーティーでもなく、マティルダは全く関わっていない。 乙女ゲーム通りに進んでいるようで、なんだか内容が大きくズレているような気がしていた。 それにいつも無表情なローリーはこの時ばかりは感情を露わにしている。 シエナを愛おしそうに見つめていたり、マティルダを見て怒っていたりと忙しそうだ。
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