一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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まず騒ぎを起こしたことを怒られて、ローリーに疑われたことを怒られて、ローリーとの関係がうまくいかなかったことを怒られて叱られて……そんな展開が安易に想像できた。 マティルダの頭の中に『めんどくさい』という感情が溢れ出していた。 「マティルダ、お前を国外追放とする!今すぐブルカリック王国から出て行ってくれ!」 「…………!」 ついにマティルダに告げられた国外追放。 しかし溶けることも砂になることもなく、一番マシなエンドを迎えられたことは喜ばしいが、納得できない結末である。 (わたくしなりに頑張ったつもりだったけど……結局、こうなってしまうのね) どこか諦めの気持ちと共に、胸にぽっかりと穴が空いたような感覚に小さなため息を吐き出した。 ここで駄々を捏ねても、シナリオ通りにしかならないような気がしていた。 それに色々な知識も魔法も手に入れたのだから世界を回ってみるのも楽しいかもしれないと気持ちを切り替えたマティルダは綺麗にお辞儀をしてからローリー、シエナ、ライボルトの順に目を合わせた。 しかしライボルトだけは気まずそうに視線を逸らした。 それはやましいことがあるからだろう。 「わたくしが邪魔で追い出したいというのならばこの国から去りましょう」 「なっ……!」 「マティルダ様、わたしそんなつもりじゃ……」
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