一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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そして肩に掴まったまま離れなくなり考えること数秒。 何故かそのまま追いかけられる羽目になり廃ビルの屋上に辿り着く。 ジリジリとナイフを持った男達に追い詰められて、背中に当たるフェンス。 しかし大きな音と共に運悪くフェンスがそのまま外れてしまい宙に浮く浮遊感に目を見開いた。 (ああ……こんな人生、嫌) 鳥が羽ばたいて赤く輝いているのが見えた瞬間、目の前が真っ黒に染まった。 しかし、いくら待っても覚悟したような痛みもなく不思議に思っていた。 『もしかして、私……死んだ?』 その問いに答えてくれる者はいない。 暫くすると『助けてくれてサンキュー。巻き込んですまない……代わりに生き返らせてやるよ』と、なんとも軽い口調でツッコミどころ満載の言葉が頭の中に響く声。 (ここは夢……もしくは天国かしら?) しかしもう一度やり直すことができるのならと、ここぞとばかりに自分が思っていたことを吐き出した。 『もし願いが叶うなら、生まれ変わって美人になってお金持ちになりたいし、社畜にならないでイケメンと幸せに暮らせたらいいかも~!それから魔法なんか使えちゃったりしたら最高なんですけど!!!!』 そう言った瞬間、赤い光が見えた気がしたが眠気に身を任せるまま瞼を閉じた。
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