二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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マティルダに背を向けてカチャカチャと食器を並べていく。 次第に紅茶の甘い香りと、香ばしい匂いがこちらまで漂ってくる。 残った花びらを払いながら部屋の中を見渡していると、サイドテーブルに置かれるパンと紅茶はとても美味しそうだ。 「どうぞ。お腹が空いているだろう?」 「あっ……はい。いただきます」 マティルダは手を伸ばしてカップの取っ手を掴んだ。 熱々の紅茶を口に含むと花の香りがブワッと広がって、ホッと息を吐き出した。 程よい甘さに驚いているとベンジャミンは「マティルダは砂糖を二つだろう?」と当然のように答えた。 ベンジャミンの言葉に頷きつつも戸惑っていた。 (どうしよう……仮面を取ったベンジャミン様の距離感が掴めない) 仮面を取ったベンジャミンは意外にも積極的である。 そんな時、美味しそうな匂いにお腹がぐるぐると音を立てた。 マティルダはニコニコと微笑んでいるベンジャミンの様子を見ながらパンを手に取り口元に運んだ。 サクリという心地よい食感と、じんわりと優しい甘さが口内に広がった。 「ん~」と笑みを浮かべながら頬を押さえた。 ベンジャミンに「もっと食べる?」と言われてマティルダは素直に頷いた。 どんどんとお腹が満たされていき、おかわりの紅茶をもらい、一息つきながら考えていたことがあった。
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