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(ベンジャミン様はどうしてここまで、わたくしのために動いてくれたのかしら)
その理由もわからないまま、不思議な時間を過ごしていた。
しかし次第にベンジャミンがここにいていいと言うのなら、今はいいかという楽天的な思考へと切り替わる。
それに加えてこんなにいたせりつくせりでいいのだろうかという疑問が湧き上がる。
お腹いっぱいになり、改めてこうなった経緯を話そうとベンジャミンの方を向いた時だった。
「マティルダ、もう少し休んだら?」
「え……?」
「あんなことになって、森の中を歩き回って疲れただろう?足もボロボロだったから心配なんだ」
マティルダの足には丁寧に包帯が巻かれている。
腕にも傷の手当てがされている。
ベンジャミンの優しさに荒んでいた気持ちが絆されていく。
マティルダはヘラリと笑いながら手を合わせた。
「あの……ありがとうございます。ベンジャミン様」
「うん、いいんだよ……でもマティルダをあんな風に追い詰めたアイツらを僕は絶対に許さないから」
「ベンジャミン様!?落ち着いてくださいませ!」
恐ろしい怒気を孕んでいるベンジャミンを前にマティルダは息を呑んだ。
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