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マティルダはそう言って陽が当たってポカポカしているベッドへと寝転がった。
大きく息を吸うと先程まで大量にあった花の残り香に癒されつつも思いきり伸びをした。
(はぁ~~~!なんて幸せなの!!!)
あまりの気持ちよさにマティルダはすぐに眠たくなってくる。
ぼんやりと視界が歪んでいき、ゆっくりと瞬きをしていた。
こちらを嬉しそうに眺めているベンジャミンの優しい表情に無意識に手を伸ばした。
(ベンジャミン様、どうして仮面で素顔を隠していたのかしら……)
あの黒い兎の仮面の意味はわからないが、ベンジャミンなりの理由があるのだろう。
意外にも表情が豊かなベンジャミンを見て笑みを浮かべていると、ベンジャミンは大きく目を見開いたあとに、ふんわりと包み込むようにマティルダの手を握った。
まるで壊れ物を扱うようにそっと手を体の上に乗せると、マティルダの瞼は完全に閉じてしまう。
そして、ベンジャミンはマティルダの金色の髪をそっと手に取り唇を寄せた。
「おやすみ、マティルダ」
ベンジャミンの優しい声が耳に届いた気がした。
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