二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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マティルダは何度か瞬きをしながら目を薄っすらと開けた。 日当たりのいい窓を見上げつつも、幸せに浸かっていた。 (まだ眠い……このまま二度寝しましょう) そんな気持ちに身を任せるまま、もう一度眠ろうと寝返りを打った時に大きな影が見えて目を凝らしてみると…。 「──っ!?!?」 マティルダの隣に寝ているベンジャミンの姿をみて、マティルダの意識は一気に覚醒する。 そして思いきり息を止めた。 こんなに間近に男性の顔があると思うだけで心臓が口から飛び出してしまいそうになった。 (ど、どうしてわたくしの隣にベンジャミン様が寝ているの!?) ベンジャミンと距離を取るために後ろに下がるが、すぐに壁が背に当たってしまう。 戸惑いつつ、首を動かしてどうするべきか模索している時だった。 「ん……?マティルダ、よく眠れた?」 「はい、眠れました!それはもう、よく眠れましたっ」 「良かった」 マティルダは首を細かく縦に動かしていた。 ベンジャミンは安心したように微笑んでからゆっくりと体を起こす。 「よく寝た……」と言いながら腕を上に伸ばしているベンジャミンの様子を窺いつつ、間近にあった顔が離れたことに安堵していた。
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