一章 悪役令嬢が幸せになるとは限らない!

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そして目を覚ましたら、乙女ゲーム『ヘルラブ』の悪役令嬢である『マティルダ』になっていたというわけだ。 (この姿……ゲームの時よりも幼いわよね?まだ学園に入学する前かしら?) ドレスのデザインも毒々しいものではなく、まだまだ可愛らしい。 金色の腰まである長い髪に、オレンジ色と金色が混ざった夕陽のような瞳は、どこなく雷や電気を彷彿とさせる。 (こんなに小さいけれど美人だし、迫力があるなぁ) 鏡でマティルダの顔を確認して吊り目を下に下に引っ張りながら思っていた。 それから乙女ゲームのマティルダの人生を思い出しながら何かを悟る。 (まず荷が重過ぎる。それに人選ミスでは……?) 正直に言うと、マティルダと前の自分の性格は真逆だった。 自信のある態度とハッキリとモノを言い、魔法力も王太子の婚約者に選ばれるほどに素晴らしいものを持っている。 しかしその完璧主義で弱い者が大嫌いなマティルダは取り巻きの令嬢達こそいるものの、どこか近寄りがたくて孤高の存在だった。
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