二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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「それにわたくしがここまでよくしていただく理由もありません」 「理由……?」 「そうです!」 「それは僕がやりたいからでは理由にならないの?」 「申し訳ないですし、わたくしがお世話になる理由もないので。それにベンジャミン様にご迷惑を……」 正直なところ助けてもらった上に、ここまでしてもらって申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 「迷惑じゃないよ」 「……」 「マティルダは僕がいいと言ってもダメなの?もうあの国に帰るつもりはないんだろう?」 「はい、そうですけど……」 マティルダは再びブルカリック王国に帰るつもりはなかった。 何より万が一に備えて他国のことを調べていたマティルダは、卒業パーティーで身につけていた宝石を売って他国で暮らそうとぼんやりと計画を立てていた。 そこに天の助けのように現れたベンジャミン。 あまりにもマティルダにとって都合のいいことばかり起こるため、疑ってしまうのも無理はないだろう。 「君はよくわからないことで悩むんだね」 「え……?」 「そんなところもやっぱり慎ましくて可愛いね。マティルダ」 「えっと……」 「理由が欲しいのか。マティルダが一緒に暮らすことに納得できる理由……」
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