二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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何故ベンジャミンはこんなにもマティルダの状況を知っているのかよりも、気持ちを理解してくれたことが嬉しかった。 頑張りを評価してくれて、見ていてくれた人がいる……マティルダは胸が締め付けられるような思いがした。 思わぬ不意打ちにマティルダの瞳からは無意識にポロリポロリと涙が溢れていく。 「だから少しはゆっくりしてもいいんじゃないかな?僕は、マティルダに幸せになって欲しい」 「ベンジャミン様……」 涙を拭うように優しく伸ばされる指。 「今まで、よく頑張ったね」そう優しく声をかけられて、目頭がグッと熱くなる。 そこではじめて自分が泣いていることに気づいたが、涙を止めることができずに次々に流れていく。 「ぐすっ……ごめん、なさい!」 「いいんだよ。今まで我慢していた分、泣いてスッキリしていた方がいい」 「う……ふっ……」 「ここなら誰にも邪魔されない。アイツらにはもう絶対にマティルダは触れさせない」 ベンジャミンの逞しい腕が伸びて優しく引き寄せらる。 胸にしがみついて肩を揺らしながら子供のように思いきり泣いた。 ベンジャミンの「ここで一緒に暮らそう」という言葉にマティルダは勢いのまま頷いたのだった。
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