二章 元悪役令嬢、新婚(監禁)生活スタートです!

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次の日からベンジャミンとの新しい暮らしが始まった。 窓から外を見渡してみると一面、森に囲まれていることがわかる。 朝は鳥の囀りで目が覚めて、夜は空に一面の星が瞬いている。 ガルボルグ公爵邸で暮らしていた時よりも、のんびりとした毎日にマティルダの頬は緩みっぱなしである。 何より日当たりのいいベッドで昼寝をすることが至福の時間だった。 今まで貴族の令嬢として常に人に囲まれていたマティルダにとって、人目を気にせずにのんびりとできることが、こんなにも幸せだと思い出すことができた。 悪役令嬢に転生する前の働きっぱなしの生活とも令嬢として緊張感があって居心地の悪い毎日とも違う。 まさに理想的な生活にマティルダの表情筋は緩みっぱなしである。 (あぁ…………幸せ) 仕事終わりの一杯に匹敵する幸せがずっと続いているような感覚だった。 ベンジャミンと一緒に暮らし始めて、あっという間に一ヶ月の月日が流れた。 最初は遠慮気味ではあったが、だんだんとベンジャミンに甘やかされることにすっかり慣れてしまった。 我ながら適応力の高さに驚いていた。
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